探鉱新技術分科会 活動記録
更新日 2012/12/03一覧表(内容は下段概要参照)
 
日付
項目
話題
提供者
所属
委員
Obsv

場所

12/11/26
第42回

二酸化炭素水和物の海底下埋設

沖縄の水溶性天然ガス

電力中央研究所地圏科学領域の研究設備見学

大隅 多加志

加藤 進

中田英二ほか

電力中央研究所

地科研

電力中央研究所

9
12 

電中研

(我孫子)

12/05/23
第41回

レーザーアブレーションICP質量分析法によるジルコン年代測定

檀原 徹
岩野英樹

株式会社 京都フィッション・トラック

7
 
15
 
SK
12/03/13
第40回

茂原、幌延地域における断層周辺でのガスの移動

中田英二
末永 弘

電力中央研究所

7
 
14
 
SK
11/07/28
第39回

地下微生物の天然ガス生成ポテンシャル

坂田 将

産総研

8
 
9
 
JX開発
11/01/14
第38回

コールベッドメタン開発の観点からの石炭評価パラメーターについて

佐藤雅紀

SK

12
 
17
 
SK
09/12/2
第37回

コア試料分析から明らかになったメタンハイドレート胚胎層の特徴とメタンハイドレートの産状

鈴木清史

産総研

6
 
11
 
SK
09/06/22
第36回

「ちきゅう」研究区画と船上科学計測の現状

青池 寛

海洋研究開発機構

4
 
6
 
SK
08/07/15
第35回

新潟県十日町市の泥火山から噴出する天然ガスの地化学的特徴

泥火山掘削とヘッドスペースガス分析結果

陸上泥火山における炭化水素の嫌気的微生物分解と2次的メタン生成

溝部かずみ

加藤 進


早稲田 周

SK技研

地科研

SK技研

8
10 
SK
07/12/26
第34回
熊野海盆泥火山群の成り立ちとその特徴について

長期温度モニタリングによる海底冷湧水域の熱学・水理学的研究
森田澄人

後藤秀作
産総研

産総研
9
7
JOGMEC東京
07/10/16
第33回
油ガス田付随水中のストロンチウム同位体組成

最近の国内陸域〜浅海域における地震探査データ取得方法
加藤 進

河合展夫
地科研

地科研
7
10
地科研
07/3/13
第32回
地質構造モデリングの最近の成果について
山田泰広
京大・院
9
13
SK
06/10/3
第31回
衛星SARデータによる海上油徴の検知について

オイルスリックのサンプリングと分析


大沼 巧

武田信從
西田英毅
浜田康史
西代 孝
地科研

SK技研
SK技研
SK技研
地科研
7
7
SK
05/12/13
第30回
レーザガスディテクタによるメタンガス検出原理とその応用
天然ガス地帯における湧出メタンガス調査法について -レザーガス検知器を用いた湧出場検出の有効性-
井城祥光

岩本広志
アンリツ

関天
5
9
関天本社
05/4/22
第29回
海底電気探査の海底地盤調査への適用性について
海底電磁気探査の現状と将来
井上 誠

後藤忠徳
元基礎地盤コンサルタンツ
JAMSTEC
5+4
8
SK
05/1/26
第28回
広がる蛍光X線分析の世界!最新のX線分析顕微鏡の技術とアプリケーションの紹介 西川智子 堀場製作所
8
10
堀場
04/3/12
第27回
2003年十勝沖地震に伴う千歳市泉郷地区における天然ガス噴出について 金子信行 産総研
12
10
SK
03/3/25
第26回
Artificial Neural Networkの原理とその探鉱への応用 中山一夫 地科研
8
10
帝石
02/11/19
第25回
メタンを生成する微生物のメタン生成経路と地球化学的な役割 鎌形洋一 産総研
10
8
公団
02/5/21
第24回
Salt Diapirs; a general review Hemin A. Koyi ウプサラ大学
13
16
公団
02/4/23
第23回
フィッション・トラック(FT)年代測定法の石油探鉱への応用−新潟地域グリーンタフを例として− 加藤  進 SK
8
7
帝石
02/1/17
第22回
天然ガス付随水(かん水)中のヨウ素濃度について
上総層群に産出するヨウ素の年代と起源
間隙水へのヨウ素の濃集機構とその起源
三田  勲
樋口康則
村松康行

金子信行
日本天然ガス
合同資源産業
放医研

産総研 
14
23
JE
01/10/11
第21回
日本海溝前弧域におけるプレート境界付近の構造の不均質性 鶴  哲郎 海洋科学技術センター
7
9
SK
01/07/26
第20回
岩石物性と地震探査のはざま 村山隆平 SK
13
32
公団
01/04/20
第19回
DEMと地形情報処理 三箇智二 日鉱探開
13
9
公団
01/04/03
第18回
石油の移動(距離)を示すバイオマーカー 木佐森聖樹 TRC
11
3
帝石技研
00/12/153
第17回
基盤岩フラクチャー貯留層の分布予測について 磯江芳朗 日本石油開発
10
16
JE
00/09/19
第16回
構造形成モデリング−アナログとデジタル− 山田泰広
玉川哲也
SK技研
SK技研
12
5
JE
00/02/29
第15回
地質モデリンググループの設立について 中山一夫
奥井明彦
地科研
出光オイルアンドガス
9
11
JE
99/08/04
第14回
反射法地震探査から見た北日本の新生代テクトニクス 佐藤比呂志 東大地震研
12+11
20
JE
99/04/15
第13回
NMR検層の基礎と応用 川村善久
廣島英樹
水野達也
Schlumberger
アブダビ石油
アラビア石油
14
17
日石
99/01/14
第12回
ReservoirCharacterization by Monte Carlo Simulation 中山一夫 地科研
15
13
JE
98/09/17
第11回
FluidInclusion Stratigraphy 石橋正敏 TRC
17
4
JE
97/12/05
第10回
物理検層の基礎  
物理検層による根源岩評価  
シリカ続成と物理検層
戸田  徹  
高山  将  
加藤  進
Geoquest  
公団  
SK
11
12
SK
97/07/09
第9回
FT法の最近の成果と石油探鉱へのジルコンの応用 檀原  徹 京都FT
7
11
SK
97/02/19
第8回
微量分析手法の石油探鉱開発への応用 石田  聖 TRC
15
3
SK
96/12/13
第7回
非海成根源岩の研究動向  
最新の地化学の研究動向
早稲田周  
鈴木  優
SK技研  
SK技研
11
6
SK
96/11/01
アンケート2
海外学会参加状況
 
 
 
 
 
96/07/23
第6回
石油根源岩としての石炭 鈴木祐一郎 地調
12
19
SK
96/05/16
第5回
付加体における流体循環 芦寿一郎 東大
13
13
SK
96/03/15
第4回
Sr同位体の基礎と応用 中野孝教 筑波大
9
7
SK
95/11/10
第3回
日本海東縁の盆地反転構造から見た日本海のテクトニクス  
日本海東縁部の重力異常
岡村行信  

森尻理恵

地調

地調

9
17
SK
95/07/21
第2回
FluidInclusionその基礎と応用 山田泰生 SK技研
17
5
SK
95/05/19
アンケート1
活動方針について
 
 
 
 
 
95/04/07
第1回
分科会活動について
 
 
19
0
SK
 
 
 
新技術ホーム
分科会概要
 

内容の概要 

第42回探鉱新技術分科会
日時:2012年11月26日(月)15:00〜17:40
場所:電力中央研究所(我孫子地区) 南研究棟 別館1階A会議室
出席者:
(分科会委員)早稲田、森田、金子、野口、岡本、佐藤、奥村、荒木、樋口  以上9名
(オブザーバー)中川 加明一郎(電中研)、鈴木 祐一郎・徳橋秀一・佐脇貴幸(産総研)、下村 章(ICEP)、野口 聡(JOGMEC)、藤原昌史・白木正弘(三井石油開発)  以上10名
(講演者)大隅 多加志 氏(電力中央研究所)、加藤 進 氏(地科研)  以上2名
(研究設備見学 案内者)中田英二氏・末永 弘氏・伊藤由紀氏(電中研)  以上3名
計21名

(1) 分科会委員、活動内容の確認
現在の委員名簿を確認した。次回の予定(京都大学での開催案)を紹介した。

(2) 話題提供
話題1:二酸化炭素水和物の海底下埋設
講師:電力中央研究所 大隅 多加志 氏
要旨:貯留すべき二酸化炭素のすべての量を発生源において水和物の化学形とし、さらに溶解を極小化するための泥質層を表面に作り込んでから、水和物が安定な海底(水温10℃以下水深430m以深)に静置する場合には、二酸化炭素地中貯留に伴うサイト選定や長期的なリスク管理の困難を回避可能である。

話題2:沖縄の水溶性天然ガス
講師:樺n球科学総合研究所 加藤 進 氏
要旨:主に沖縄本島南部における水溶性天然ガスの探鉱経緯と石油地質について概説した。2つのタイプの水溶性天然ガスが存在するのが本地域の特徴である。すなわち,1)島尻層群豊見城層(上部中新統)の砂岩層を貯留層とする微生物起源ガスと,2)基盤岩(島尻層群基底の砂礫岩を含む)を貯留層とする熱分解ガスである。平成22年度の補正予算で実施された陸上地震探鉱(沖縄中南部:7測線,約150km;宮古島:9測線,約100km)の成果についても言及した。

(3) 電力中央研究所 地圏科学領域の研究設備見学
ガスクロ同位体質量分析計: 中田英二氏
二層流実験装置:末永 弘氏
ヘリウム同位体質量分析計:伊藤由紀氏

第41回探鉱新技術分科会
日時:2012年5月23日(水)15:30〜17:50
場所:石油資源開発株式会社 19階1903会議室
出席者:
(分科会委員)早稲田、金子、後藤、井口、岡本、佐藤、奥村  以上7名
(オブザーバー)加藤(地科研)、三石・中西・深野(JX日鉱日石開発)、鈴木・中嶋・佐脇・板木(産総研)、飯塚(早稲田大)、藤原(三井石油開発)、波多野(JOGMEC)、洲崎・守屋(石油資源開発)  以上13名
(講演者)檀原 徹氏・岩野英樹氏(京都フィッション・トラック)  以上2名
計22名

(1) 分科会委員、活動内容の確認
現在の委員名簿を確認した。分科会のホームページを紹介し、活動の目的、これまでの経緯・活動内容を確認した。次回の予定(企画中)を紹介した。

(2) 話題提供
話題:レーザーアブレーションICP質量分析法によるジルコン年代測定
講師:株式会社 京都フィッション・トラック 檀原 徹氏・岩野英樹氏
要旨:ジルコンを対象とする年代測定法は、近年のLAS-ICP-MS方の飛躍的な進歩により、現在大きな変革期の中にある。最も顕著な適用分野はフィッション・トラック(FT法)と若い年代試料をターゲットとしたU-Pb法である。LA-ICP-MSの利用により、FT法は原子炉利用の不安定性から解放され、安定で迅速な測定法として生まれ変わりつつある。一方U-Pb法では1Ma以下の若い年代測定も可能となり始めた。さらにこれら閉鎖温度の大きく異なる2法を1結晶で同時に適用するdouble datingにより、複眼的な年代情報の解析が可能となりつつある。以上の様なジルコン年代測定の現状と成果を具体例を用いて説明した。

第40回探鉱新技術分科会
日時:2012年3月13日(火)15:30〜17:40
場所:石油資源開発株式会社 19階1901会議室
出席者:
(分科会委員)早稲田、井口、石下、金子、岡本、佐藤、奥村  以上7名
(オブザーバー)加藤 進(地科研)、横山博幸(JX日鉱日石開発)、後藤宏樹(東京大学)、吉岡秀佳・佐脇貴幸・坂田 将(産総研)、妙圓薗 猛・村本良幸(関東天然瓦斯開発)、長原 薫・野口慶一・三上 潤・高橋和裕(石油資源開発)  以上12名
(講演者)中田英二・末永 弘(電力中央研究所)  以上2名
計21名

(1) 分科会委員、活動内容の確認
現在の委員名簿を確認した。分科会のホームページを紹介し、活動の目的、これまでの経緯・活動内容を確認した。次回の予定(企画中)を紹介した。

(2) 話題提供
話題:茂原、幌延地域における断層周辺でのガスの移動
講師: 地圏科学領域 地盤・地下水グループ 中田英二氏・末永 弘氏
要旨:地下トンネル掘削を必要とするダム、圧縮空気貯蔵、放射性廃棄物地層処分場の建設、さらには二酸化炭素地中貯留等においては、周辺での物質(水・ガス)の上昇の有無を知ることが重要となる。電中研では茂原、幌延、釧路、スイスなどで炭素安定同位体比や透水性・透気性について調査をおこなってきた。特に茂原、幌延では断層をターゲットとした調査により、断層において深部からの熱分解メタン(重いメタン)の上昇が捉えられている。南関東ガス田で実施した同位体比分布調査、さらに茂原(須賀谷)で実施したボーリング孔から得られた結果、幌延地点で実施しているコントロールボーリングで得られた結果を主体に、若干他の地点の結果を交えた紹介を行った。

第39回探鉱新技術分科会
日時:2011年7月28日(木)16:00〜17:30
場所:JX日鉱日石開発株式会社 2階 E0204/E0205会議室
出席者:
(分科会委員)早稲田、佐藤、岡本、甲田、石下、井口、金子、森田  以上8名
(オブザーバー)稲盛(地科研)、秋久(JOGMEC)、宇佐美(関東天然瓦斯)、奥井(出光)、田中(石油資源)、井上・三石(JX石開)、江川(産総研)  以上 8名
(講演者)坂田 将(産総研地圏資源環境研究部門)
総計17名

(1) 分科会委員確認:
メールベースで確認することとした。

(2) 話題:
地下微生物の天然ガス生成ポテンシャル 
講師:産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門  坂田将氏
要旨:地下微生物は堆積物や堆積岩中の有機物を嫌気的に分解して、二酸化炭素とともにメタンを生成する。このプロセスは天然ガス資源の形成に重要な役割を果たしている。世界の天然ガス資源の少なくとも2割は地下微生物が生成したもの考えられており、国産天然ガスとして重要な水溶性天然ガス、将来の資源化が期待される南海トラフの海底ガスハイドレートも主に微生物起源である。このような天然ガス資源の成因を解明し、探鉱・開発を効率的に進めるために、地下微生物によるメタン生成活動の実態(どこで、どの位の速度で、そのような経路でメタンを生成しているのか)を理解することが必要である。我々は様々なフィールドから採取された地下試料に微生物学的・地球化学的解析手法を適用し、地下微生物の天然ガス生成ポテンシャルを評価する研究を進めており、分科会話題提供ではこれまでの研究成果について紹介した。
 なお、本発表には以下の共同研究者による協力がある。吉岡秀佳(1),持丸華子(1),眞弓大介(1),大庭雅寛(2),前田治男(3),丸山明彦(1),鎌形洋一(1) (1.産総研; 2.東北大院; 3.国際石油帝石)

第38回探鉱新技術分科会
日時:2011年1月14日(金)16:00〜17:30
場所:石油資源開発株式会社 19階1902,1903会議室
出席者:
(分科会委員)早稲田、山田、井口、甲田、遠藤(中本代理)、樋口、石下、金子、後藤、奥村、佐藤(講演者)、森田  以上12名
(オブザーバー)符(JX開発)、岡本(出光)、石本(伊藤忠石開)、田中・小林・轟木・芦田・岡村・磯野(INPEX)、佐藤(丸紅)、白木(ICEP)、鈴木(産総研)、多田(JOGMEC)、葉茸・酒井・瀬能・山根(石油資源)  以上 17名
(講演者)佐藤雅紀(石油資源開発)
総計29名

(1) 分科会委員、活動内容の確認:
前回以降の新規委員就任者を紹介し、現在の委員名簿を確認した。分科会ホームページを紹介し、活動の目的、これまでの経緯・活動内容を確認した。

(2) 話題:
コールベッドメタン開発の観点からの石炭評価パラメーターについて 
講師:石油資源開発株式会社 探鉱本部  佐藤雅紀氏
最近注目を集めている非在来型石油・天然ガス資源の一つにコールベッドメタン(以下CBM)がある。CBMはその名のとおり石炭層中に含まれるメタンガスで、石炭の生成過程において生じたメタン分子が、石炭の微細組織の表面に吸着・包蔵されているものである。石炭中には微細な孔隙や“炭理(cleat)”と呼ばれる亀裂があり、地下状態では通常この孔隙部は水で満たされ、メタン分子はその水の圧力によって石炭組織の表面に吸着している。坑井を掘さくし、炭層内の水を抜いて圧力を払うと、このメタン分子が脱着して孔隙や炭理を通って坑井を介して生産される。CBMは既に一部の国・地域では既に開発が進められてきているが、『非在来型』であるがゆえに、その鉱量や生産性の評価には従来の石油システムに基づく石油・天然ガス評価とは異なったデータの見方が必要となる。一方、CBMの開発候補となる地域では既に近隣地域で炭鉱が稼行している例も多く、それに伴い炭量・炭質をはじめとした様々な地質データが蓄積されている場合があり、これらの既存炭田データから、その炭田周辺でのCBM開発の可能性について推定することができる。

第37回探鉱新技術分科会
日時:2009年12月2日(水)16:00〜17:30
場所:石油資源開発株式会社 19階1903会議室
出席者:
(分科会委員)野口、山田、佐藤、野中、金子、森田  以上6名
(オブザーバー)稲盛(地科研)、岩本(関東天然瓦斯)、藤原(三井石開)、遠藤(INPEX)、鬼山・鬼嶋・澤田・湯淺(石油資源)、中嶋・佐藤・吉岡(産総研)  以上 11名
(講演者)鈴木清史(産総研メタハイ研究センター)
総計18名

(1) 分科会委員確認:
オブザーバーが多かったため、メールベースで確認することとした。

(2) 話題:
コア試料分析から明らかになったメタンハイドレート胚胎層の特徴とメタンハイドレートの産状 
講師:産業技術総合研究所メタンハイドレート研究センター  鈴木清史氏
要旨:天然のメタンハイドレートは多くがメタンやエタンなどの炭化水素を包接しており、将来のエネルギー資源として期待されている。さまざまな地域で多様な産状とともに地層中のメタンハイドレートの存在が報告され、既存の油・ガス開発技術を利用した資源化の可能性から岩相?層序規制型の、砂層の孔隙をメタンハイドレートが充填する孔隙充填型の産状が注目されている。日本近海では、東海沖から熊野灘にかけての南海トラフの陸側の堆積物中に、メタンハイドレートの存在を示唆する海底疑似反射面 (BSR)があり、1995年以降メタンハイドレートの胚胎層の性状の把握を目指した調査が経済産業省(1995年当時は通商産業省)によってなされた。2004年に実施された基礎試錐「熊野灘?東海沖」では、このBSRを貫く掘削がなされ、孔隙充填型のメタンハイドレートの存在が確認された。孔隙充填型のメタンハイドレートは、孔隙が大きな砂質堆積物中に胚胎層が形成されるという点では石油や天然ガスの集積に類似しているが、メタンハイドレート自体は低温高圧で安定な流動できない固体である。このため、メタンハイドレートの濃集機構は石油や天然ガスの集積機構とは異なることが考えられる。2004年に実施された基礎試錐「熊野灘?東海沖」では、コアリングに伴う減圧で生じるメタンハイドレートの分解を抑制するために、コア採取深度の圧力を保持できるPressure Temperature Core Samplerを用いてコア試料が回収された。このメタンハイドレート含有コア試料を分析し、粒度分布、孔隙率、試料孔隙内のハイドレート飽和率を得た。この分析からメタンハイドレートが胚胎しやすい堆積物の性状を見いだすとともに、その胚胎メカニズムについて考察した。また、低温高圧で安定なメタンハイドレートを観察できるように、観察試料を液体窒素温度に保ち、かつ30Paの低真空状態での観察が可能な電子顕微鏡を用い、天然のメタンハイドレート含有試料の孔隙内のメタンハイドレート胚胎状態を観察した。この観察結果とともに、メタンハイドレートの産状が弾性波速度や浸透率に与える影響についての考察を紹介した。

第36回探鉱新技術分科会
日時:2009年6月22日(月)16:00〜17:30
場所:石油資源開発株式会社 19階1903会議室
出席者:
(分科会委員)早稲田、森田、金子、野中  以上4名
(オブザーバー)佐藤(コスモエネルギー開発)、河合(地科研)、高山・八木・横井(石油資源)以上 5名
(講演者)青池 寛(海洋研究開発機構)
総計10名

(1) 分科会委員確認:
現在の委員を確認した。森田澄人委員の座長就任が承認された。

(2) 話題:
「ちきゅう」研究区画と船上科学計測の現状 
講師:独立行政法人海洋研究開発機構 (JAMSTEC) 青池 寛氏
要旨:「ちきゅう」の研究区画には採取されたコアを直ちに船上において分析するため、陸上研究施設にも匹敵する様々な分析装置が搭載されており、それらは物性、有機・無機化学、微生物分野と多岐にわたる。コア試料の取り扱いには、非破壊でそのまま、または半裁後に計測する手法と、半裁前または半裁後に部分試料を取ってそれを分析する手法がある。前者の代表的なものは、コアに対して最初に行われる分析であるX線CTスキャンであり、後者には、湿式分解前処理を伴うICP-MSを使った微量無機化学分析などがある。揺れる船上での秤量は難しいが、「ちきゅう」にはmg及びμgオーダーで秤量出来る電子天秤も搭載されている。船上で行われる科学計測の対象はコアだけではない。ライザー掘削では、掘削泥水とカッティングスもその対象となる。マッドガス分析では、希ガスなどを対象とし、試料採取に当たっては空気混染を排除する方法が取られる。現在南海トラフで行われているIODP Expedition 319航海では、海洋科学掘削史上初のライザー掘削が実施中であり、科学目的での泥水検層も行われている。

第35回探鉱新技術分科会
日時:2008年7月15日(火)15:00〜17:30
場所:石油資源開発株式会社 19階1903会議室
出席者:
(分科会委員)早稲田(講演者)、藤井、金子、森田、樋口、前田、熊谷、山田  以上8名
(オブザーバー)棚橋(産総研)、井上(三菱商事石開)、稲場(帝石)、矢口・藤原・前田(三井石開)、岩本(関天)、野中(石油資源)以上 8名
(講演者)加藤 進(地科研)、溝部 かずみ(石油資源)、早稲田 周(石油資源)
総計18名

話題:
(1)「新潟県十日町市の泥火山から噴出する天然ガスの地化学的特徴」
講師:石油資源開発株式会社 技術研究所 溝部かずみ氏
要旨:新潟県十日町市には2つの活動的泥火山が報告されている。この泥火山から噴出する天然ガスの地化学的特徴を明らかにするとともに,深部から上昇してくるガスの移動プロセスについて検討した。ガスの組成・炭素同位体組成から、泥火山からのガスは熱分解起源であること、浅部での滞留によって微生物分解を受けていること、などが推定された。
(2)「泥火山掘削とヘッドスペースガス分析結果」
講師:株式会社地球科学総合研究所 加藤 進氏
要旨:泥火山周辺で掘削された深度120mの2坑井の概要とヘッドスペースガス分析結果について報告した。ヘッドスペースガスの組成・炭素同位体組成の深度変化から、シールの存在などが推定できる。石油探鉱における地表油・ガス徴の地化学分析の意義についても言及した。
(3)「陸上泥火山における炭化水素の嫌気的微生物分解と2次的メタン生成」
講師:石油資源開発株式会社 技術研究所 早稲田 周氏
要旨:陸上泥火山のCO2炭素同位体組成と微生物分解・メタン生成の関係について検討した。新潟県十日町市の2つを含む世界9ヶ国134の陸上泥火山の半数では、CO2の炭素同位体組成が少なくとも1試料は+5‰より重い値を示す。このような重いCO2炭素同位体組成は油・ガスの嫌気的微生物分解と二次的メタン生成が地下で起こっていることを示唆する。

第34回探鉱新技術分科会
日時:2007年12月26日(水) 15:30-17:50
JOGMEC 東京カンファレンスルーム 大会議室
出席者:
(分科会委員)金子、早稲田、藤井、森田(講演者)、後藤(講演者)、有賀、花村、西田、゙  以上 9名
(オブザーバー)稲盛、守屋、深澤(SK)、高山、佐伯(JOGMEC)、藤原(三井石開) 以上 6名 10名
(講師)森田澄人・後藤秀作(産総研)        
総計15名

話題提供:
題名:熊野海盆泥火山群の成り立ちとその特徴について
講師:産業技術総合研究所 森田澄人氏
概要:泥火山は世界中の油ガス田地域やプレート収束帯で多く認められる。近年、私達は熊野海盆に存在する泥火山群において地球物理学的および地質学的アプローチを試みてきた。反射法地震探査やAUV探査では、泥火山と周辺堆積層との関係により、初生的な形成過程から活動度が変化を繰り返す発達過程まで、泥火山の成長様式をうかがい知ることができた。また底質試料の採取により、噴出砕屑物の特徴やその起源、また間隙水の性質も明らかとなった。このような熊野海盆泥火山群の調査は、地球科学的観点において付加体や前弧海盆における砕屑物を含んだ地下流体の移動様式の解明につながり、また一方で、ガスハイドレートBSRが広く発達する海域での泥火山や泥ダイアピルと天然ガスとの関連について考察が加えられた。
題名:長期温度モニタリングによる海底冷湧水域の熱学・水理学的研究
講師:産業技術総合研究所 後藤秀作氏
概要:熱流量は地下の温度構造の推定や流体移動を調べるための基礎情報を提供する。海域における熱流量の測定は海底水温変動による堆積物の温度擾乱を避けるため、陸に近い海域で熱流量データが少ない。演者は、海底水温変動の振幅の大きい南海トラフの水深3000mより浅い海域を対象に海底水温と海底下温度を長期間モニタリングし、海底水温変動の影響が海底下に伝播するときの性質を利用することで熱・流体フラックスを調べる研究を進めている。具体例として、熊野沖南海トラフ付加体と熊野海盆泥火山の海底冷湧水域の熱学・水理学的研究を目的に行った長期温度モニタリングの成果が報告された。

第33回探鉱新技術分科会
日時:2007年10月16日(火) 15:30-17:45
場所:株式会社地球科学総合研究所 4階第一会議室
出席者:
(分科会委員)金子、早稲田、藤井、小原、樋口、三縄、森田  以上 7名
(オブザーバー)宇野・原(地科研)、小林・波多野(JOGMEC)、伴(帝石)、荻原(JODCO)、岩本(関天)、足立原(三菱商事石開)、洲崎(SK)、安藤(茨城大)  以上 10名
(講師)加藤 進・河合展夫(地科研)        
総計19名

話題提供:
題名:油ガス田付随水中のストロンチウム同位体組成
講師:株式会社地球科学総合研究所 加藤 進氏
概要:ストロンチウムの濃度は海水や陸水中よりも岩石中で高い。河川、地下水などの表層陸水や地熱水は流域に分布する岩石のストロンチウム同位体比(87Sr/86Sr)を反映する。油・ガス生産井から産出する水(地層水・凝縮水)も同様に貯留岩のストロンチウム同位対比を反映するため、プールが同じであれば同じストロンチウム同位体比を示す。このことを利用すれば、地層水のストロンチウム同位体比は貯留層コンパートメントの指標として使うことができる。東新潟ガス田では、寺泊層、椎谷層、西山層の順に上位の貯留層ほどストロンチウム同位体比が高くなる傾向があり、堆積物の供給源が変化していること(火山岩から基盤岩へ)を反映している可能性がある。仕上げ区間が長い場合、地層水のストロンチウム同位体比と区間内の岩石のストロンチウム同位体比の変化を比較することによって、流体の産出区間を特定できる可能性がある。また、凝縮水と地層水では同じ貯留層内でもストロンチウム同位体比が異なる。このことは、凝縮水と地層水のストロンチウム同位体比が貯留層内流体のモニタリングに使える可能性を示す。
題名:最近の国内陸域〜浅海域における地震探査データ取得方法
講師:株式会社地球科学総合研究所 河合展夫氏
概要:陸域〜浅海域における地震探査データ取得においてまず重要となるのは調査実施の許認可申請である。学術調査が目的の場合は許認可が得られやすいが、石油探査が目的の場合は許認可の取得はより困難になる。特に難関となるのは、公園、国有林、電柱、鉄道、港湾内、個人敷地、漁業権者である。陸上の調査では、データ収録に通常ケーブルを使うが、最近は無線の独立型データ収録装置を使う場合もある。無線システムは特に市街地に向く。浅海での調査では従来のOBCケーブルでは重いことから、軽量でバッテリーを内蔵したシステムを併用している。また、海陸接合部の調査では通常の大型発振船の他に極浅海(水深10m以下)用の小型発振船の2船体制で行っている。その他の最近のトピックスとしては、先行作孔による発破作業の能率化、小型バイブロの導入、極浅海用のエアガンなどがある。また、発振とストリーマーによる受振を行う船に加えて発振のみを行う船を同時に走らせる2船式調査、ジオホンに代わる装置としてアナログ部がない3成分デジタルセンサー、ダイナマイト発破作業に使うエコパイプ(3年で自然に消える)、などが新しい技術・機材として使われ始めている。

第32回探鉱新技術分科会
日時:2007年3月13日(火) 15:30-17:30
場所:場所:石油資源開発株式会社 本社18階第3会議室
出席者:
(分科会委員)金子、早稲田、山田(講演者)、有賀、前田、荒木、花村、及川、山本 以上 9名
(オブザーバー)井上・足立原(MCエクスプロレーション)、森田(帝石)、小島・小原、(JODCO)、守屋・小澤・竹花・養老・指宿・河合・山之内・玉川(SK) 以上 13名
(講師)山田泰広(京大・院)        
総計22名

話題提供:
題名:地質構造モデリングの最近の成果について
講師:京都大学大学院 工学研究科  山田泰広氏
概要:地質構造モデリングは、地質構造の形態やその形成過程をモデル化し、実験や数値シミュレーションによって検討する手法である。これを用いることで、探鉱対象地域における地質構造形成過程を理解し、良質な探査イメージを取得することが困難な探鉱ターゲットの形態をより高精度に解釈することが可能となる。今回は、この手法を用いて実施したスラスト帯に関する最近の解析結果が報告された。深度10km程度までの上部地殻全体のマクロ変形挙動は脆性破壊で近似でき、モデル化と縮小に関する理論によると、この部分の地質体は粒子の集合体で近似できる。したがって、乾燥砂やガラスビーズを用いた実験を行うことでモデル化した地質構造の形成過程を再現することが可能となる。単純なモデル実験でも断層構造の形成過程や斜面崩壊など、実際の地質現象に近い現象を観察することが可能であるが、最近は実験結果を画像解析することによって、数値化情報として変形を可視化することが行われている。個別要素法や格子ボルツマン法を用いた数値シミュレーションを組み合わせることによって、モデル化した地質構造を再現し、地質構造形成における応力場や詳細な変形情報、孔隙率・浸透率の時間・空間変化を検討することが可能である。最近行われたシミュレーションによると、断層はその活動時に流体の通路となる可能性が高いこと、などが示された。

第31回探鉱新技術分科会
日時:2006年10月3日(火) 15:30-17:30
場所:場所:石油資源開発株式会社 本社24階2405会議室
出席者:
(分科会委員)金子、早稲田、西田、村山、中須賀、荒木、有賀 以上 7名
(オブザーバー)稲場(帝石)、岩本(関天)、沢村、前田(SK)、石橋、服部(JE)、岡本(出光) 以上 7名
(講師)井大沼巧(地科研)武田信從(SK)2名        
総計16名

話題提供:
題名:衛星SARデータによる海上油徴の検知について
講師:株式会社地球科学総合研究所 地理情報部リモートセンシンググループ  大沼 巧氏
概要:近年,国内外の海洋堆積盆において衛星画像の利用による海上油徴の調査(オイルスリック・マッピング)が行われるようになってきた。本報告では,衛星画像によるオイルスリック検知に関する概要と,秋田沖やフィリピン・ネグロス沖における適用例が紹介された。海底から滲出する油滴は,海面に達すると拡散し薄い油膜を形成し,これにより表面波が低減されるために,海表面は平滑化される。衛星搭載の合成開口レーダ(SAR)システムでは,地表あるいは海面からの後方散乱を受信するが,平滑化された海面では極めて少量の後方散乱しか生じないため,油膜に覆われる範囲は衛星レーダ画像上で暗階調となり,周囲の海面の明階調と対照を成し,オイルスリックとして認識される。人為的なオイルスリックと自然滲出起源のオイルスリックの区別は,後者は同一地点で断続的に生じるために,異なる時期に取得された複数画像の検討により認識できる。また,髪の毛状の形状であることや,非汚染海面との境界が不鮮明であることなども特徴である。オイルスリックの形成条件は海象に影響されるため,撮像前24時間の海象データは必要不可欠である。また、オイルスリックの位置は海底下の地質構造に密接に関連するため,地質コンテキストとの対比も不可欠となる。簡便で低価格な手法であることや,多くの画像や光学センサ画像も併用する必要があることが紹介された。オイルスリックは堆積盆内で炭化水素の生成と移動が起きていることの証拠であるが,炭化水素のプールを直接示すものではない。

題名:オイルスリックのサンプリングと分析
講師:石油資源開発株式会社 武田信從氏・西田英毅氏・浜田康史氏 株式会社地球科学総合研究所 西代 孝氏
概要:原油の分析データは根源岩タイプや熟成度,クラッキング・生物劣化・分別等の情報を含み,石油探鉱や貯留層地化学に利用されている。通常は坑井試料を使うが,地表の油徴試料も使われている。近年,海域の油徴も注目を集め,海底から滲出し海面を漂う油が衛星画像等で確認されている。演者らは海面に存在する油膜を分析可能な量集める方法を検討し,シリカクロス法が有効であることを確認した。実験室での予備実験ではC20以下の軽質分が失われるが,長鎖のn-アルカンやステラン/トリテルパンではほぼ同じ組成であることが確認された。芳香族ステランやメチルフェナントレンでは組成に違いが見られた。適用例としてフィリピンのセブ島沖にある海上油徴の油膜のサンプリングと分析が紹介された。オイルスリックではn-アルカンやC29-20Rステランが大きく失われており,微生物分解を受けていたが,ジアステラン組成やバイカデナン,オレアナンが豊富であることから、近隣油田の原油と同じく高等植物起源であることが示唆された。

第30回探鉱新技術分科会
日時:2005年12月13日(火) 15:30-17:20
場所:場所:関東天然瓦斯開発(株)本社会議室(日本橋)
出席者:
(分科会委員)金子信、小原友、山田泰、佐藤、及川、以上 5名
(オブザーバー)稲場(帝石)、横井(SK)、荒木(三井石開)、常山(出光)、久保埜(伊勢)、大庭(合資)、池田(日宝)、国末(関天)、上江川(アンリツ) 以上 9名
(講師)井城祥光(アンリツ)岩本広志(関天)2名    
総計16名

話題提供:
題名:レーザガスディテクタによるメタンガス検出原理とその応用
講師:アンリツ株式会社 ガスセンサ開発プロジェクト 部長  井城祥光氏
概要:メタンガス検知の新たな方法としてレーザ光吸収分光技法による携帯型反射型レーザガス検知器を開発した。この方式は、メタンガス特有の光吸収線にだけ反応する波長(1651nm)のレーザ光に波長変調を施して、これを壁、木、土、岩石などの物標に照射し、散乱反射光を受光・検知することで途中光路に存在するメタンガス濃度を高感度に(メタンコラム密度として10ppm・mまで)計測することが可能である。30m(専用反射板使用で150m)程度離れた物標の測定が0.1秒で可能であり、非接触のメタンガス検知方法として有用である。発表では測定原理、従来機器との違いの説明と使用事例が紹介され、装置のデモも行われた。なお、本製品は東京ガスグループ殿との共同開発品である。

題名:天然ガス地帯における湧出メタンガス調査法について ?レザーガス検知器を用いた湧出場検出の有効性?
講師:関東天然瓦斯開発株式会社 開発部  岩本広志氏
概要:鮮新-更新統の上総層群に胚胎される九十九里平野周辺の水溶性天然ガス地帯は、古くから地表湧出ガスの発生場所として知られ、これらは「上ガス」と称され、民生用あるいは探鉱指標として利用されてきた反面、しばしば、上ガス被害として取り上げられてきた。地表への湧出ガス、地下の(恐らく遊離したガスの)水溶性天然ガス鉱床から、上総層群を切る断層を通路とし、その上を覆う沖積層に二次的あるいは三次的に蓄積されることが多く、発生メカニズムはこれらの地質構成に強く依存している。水田のような冠水部ではその発生個所を“ガス泡の存在”によって調べることは容易であるものの、道路・土地などの乾表部では「都市ガス漏洩検査」の手法を用いる他はなく、「棒突:ボーリング」など多大な労苦を必要とする。レザーガス検知器(アンリツ社製)を導入し、広域分布調査や局所的な上ガス分布調査の効果的な適用法の検討に関し、新たな成果と検討事項が派生してきているが、今回の報告はレザーガス検知器を用いた 1) 地表断層のトレース(落差50mの上芝原?碇谷断層,国本層が露出) 2) 施工前後調査と上ガス対策工事施工概念 3) 湧出ガスによる地層硬化と変色の実態 4) 乾表土部からの湧出メタンガス流量測定方法について説明がなされた。上ガス発生箇所の対策を目論んだ、レザーガス検知器を用いた調査では、湧出ガス湧き出し口が捉えられることが特徴であり、現場の「場の条件」に合致した対策手法を実行することが可能となる。湧出ガスによる地層硬化と変色は、上ガス発生場が「公園の砂場」という均質な砂によって構成された特殊条件場で明らかとなり、このような場所では上ガス湧出の指標として、硬質と青色の砂性状を用いることの可能性を提示した。乾表土部からの湧出メタンガス流量測定法はレザーガス検知器を用いた「メタンコラム密度上昇速度」測定による野心的なテーマである。

第29回探鉱新技術分科会(物探分科会と共催)
日時:2005年4月22日(金) 15:00-18:10
場所:場所:石油資源開発(株)24階会議室(天王洲)
出席者:
(物探)佐藤、伴、猪野、高井 以上、4名
(探鉱新技術)金子信、小田、森田澄、小原、山田、以上 5名
(オブザーバー)吉田(国際石油)萩原(ジャパン石開)塩本洋平(新日石)、柏原(SK)、荒木(三井石開)、渡辺(出光O&G)、以上6名
(講師)井上 誠(元基礎地盤コンサルタンツ)、後藤忠徳(JAMSTEC)2名    
総計17名

話題提供:
題名:海底電気探査の海底地盤調査への適用性について
講師:元基礎地盤コンサルタンツ(株) 井上 誠氏
概要:海底電気探査は、海底に下ろした測定ケーブルを船で曳航して海底地盤を調査する電気探査法である。国内における曳航型の海底電気探査の調査事例は海外より古く、1950〜1953年に三菱鉱業株式会社高島鉱業所が海底炭層調査に用いた例と吉住ら(1965)により神奈川県平塚沖での波浪灯台基盤調査の事例がある。1999年10月に海外において海底電気探査の現場管理および解析業務に従事したことから、35年間における技術の空白を越えて測定装置及び解析法を新たに開発し、その適応性を検証するための調査を実施した。講演では、1.海底電気探査の歴史、2.海外の装置と解析結果、3.開発・改良した測定システム、4.ケーブルの測位システム、5.データの品質管理、6.解析法、7.音波探査、ボーリングデータとの対比、8.今後の課題について説明され、海底電気探査の最新技術の概要と調査事例に基づいて海底電気探査の浅海域における海底地盤調査法としての適用性について報告が行われた。海域における電気探査の利点はノイズ源から遠いことで、測線が直線である必要はなく、データ量が多い点である。ケーブルが一番短いのは3極法であり、ゆっくり曳航すれば連続的にデータが取れ、4ノットの速度では止まりながら測定することになる。富山湾における淡水湧出についての事例が示された。

題名:海底電磁気探査の現状と将来
講師:(独)海洋研究開発機構 地球内部変動研究センター  後藤忠徳氏
概要:海底での電磁気探査は過去10年間で飛躍的に進歩しており、米国・英国では石油資源探査への適用を試みられつつある。本講演では日本で実施された以下の2つのトピックスについて紹介し、その現状と限界および将来展望について述べた。
1) 南海トラフ沈みこみ帯での地殻比抵抗構造調査(<海底下10km)   比抵抗が主に孔隙率を反映した場合の沈み込み帯の深部構造などの紹介。
2) コントロールソース海底電磁探査の現状(国内・海外)および高比抵抗なメタンハイドレート層の上面検出を目指した海底電気探査の可能性(<海底下1km)   メキシコ湾、アンゴラ沖の岩塩ドームなどの事例紹介。
一部成果は下記ホームページで紹介されている。 http://www.jamstec.go.jp/jamstec/DSR/tgoto/

第28回探鉱新技術分科会
日時:2005年1月26日(水) 15:00-17:00
場所:(株)堀場製作所 東京セールスオフィス 5F エクセレントホールA(東神田)
出席者:
(分科会委員)金子信、中本、小田、森田澄、三石、佐藤、青山、小川、以上8名
(オブザーバー)武田、加藤、州崎、坂口、佐々木(SK)、竹崎(JE)、金子(アブダビ石油)、岩本(関天)、宇佐美(テクノアース)、以上9名
(講師)西川(堀場)1名    
総計18名

議題:
1. 名簿の変更確認
 H16年度の委員の交代と所属・連絡先の変更について確認を行った。

話題提供:
題名:広がる蛍光X線分析の世界!最新のX線分析顕微鏡の技術とアプリケーションの紹介
講師:株式会社堀場製作所 西川智子氏
概要:X線分析顕微鏡(XGT-5000)は世界初のX線導管を採用することにより、X線ビームを10μmに絞り込む技術を確立した。また、試料をスキャンさせながらX線を照射し、CCDカメラや蛍光X線検出器と連動させることで、光学顕微鏡による観察とX線分析装置による元素分析の機能を融合した。これらの技術に加えて大型試料室を備えることにより、10μmミクロ分析から10cm角のマイクロ分析が大気中での非破壊で分析でき、透過内部解析・異物分析・含水試料分析・生態試料分析などが可能となった。測定できる元素は原子番号11番のNaから92番のUまでで、試料の前処理を必要とせずに短時間で分析できることから、地球科学分野での応用が期待される。多くのアプリケーションの紹介があり、汎用性のある分析装置であることが理解できた。

分析センター装置見学:
1Fの分析センターにおいて、X線分析顕微鏡のデモ分析を30分ほど見学した。試料を高速でスキャンするリアルタイムのCCD映像に感嘆の声が漏れた。他にレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置、FT-IR、膜厚測定装置、グロー放電発光表面分析装置、SEM/EDX/カソードルミネッセンスなどの装置の見学と概要説明を受けた。

第27回探鉱新技術分科会
日時:2004年3月12日(金) 15:30-17:30
場所:石油資源開発(株)24階会議室(天王洲)
出席者:
(分科会委員)金子信、清水、中本、山田泰、小田、森田澄、山田真、東,樋口、西田、青山、小川、以上12名
(オブザーバー)井上(エムシー・エクスプロレーション)瀬能、武田、水野、早稲田、加藤(SK)柿崎(新日石)、岩本(関天)、以上9名
(講師)金子信(産総研、分科会委員)
(コメンテーター)国安(SK)1名    
総計22名

議題:
1. 名簿の変更確認
 旧石油公団の委員については後日確認を行う。
2.分科会のあり方について
 座長が交代してから1年ほどは活発に行われるが、段々尻すぼみになる分科会のあり方について議論した。今年度は座長2名が多忙となったことと、幹事の異動や交代といったことが重なり、開催が1度だけとなったが、当分現状のまま話題を開拓しながら活動し、分科会委員が発表することや講演者を探すことで継続することとなった。また分科会活動が活発化するためには、開催情報が分科会委員で止まらずに会員に流れる必要があるとの意見が出された。 

話題提供:
題名:2003年十勝沖地震に伴う千歳市泉郷地区における天然ガス噴出について
講師:産業技術総合研究所 金子信行
概要:2003年9月26日早朝に起きた十勝沖地震に伴い、翌日以降千歳市泉郷地区にお いて天然ガスの噴出が起きニュースや新聞でも報道された。噴出地は馬追丘陵と石狩 低地の境界付近に位置し,基礎試錐「馬追」のごく近傍である。産総研地質調査総合 センターにおいては、噴出した天然ガスの起源を特定することと、地震に伴って同様 な危険が起こる可能性についての知見を得ることを目的に10月2日に緊急調査を行 い、4試料を採取して分析を行った。ガス組成及び同位体組成からは,天然ガスは CO2還元型の微生物起源であることが明らかとなった。石狩低地で水溶性ガスの貯留 層となっている東千歳層は噴出地付近では20m程度の厚さしかないことから,噴出し たガスは石狩低地下で生成し、同層がアバットする清真布層・追分層と泉郷断層を通 路として上昇した後、現場付近の東千歳層中に集積していたものが、地震により地表 に噴出したものと解釈した。

コメント:石油資源開発株式会社 国安稔
概要:当該地域の石油地質について解説がなされた。泉郷断層が東から衝上する南長沼断層とは逆向きの逆断層であり、その構造地質学的な説明がされた.また,泉郷断層が丘陵と低地を画する位置にあり、その東側では浅所でも熱分解起源のガスしか認められないことから、低地側で生成した微生物起源ガスが移動してもこの断層から東へは移動できずに,断層が移動経路として働いていることが示された。石狩・夕張地域では主構造方向が微妙に歪むことから、これに交わる構造が存在し油ガスの移動を規制している可能性が指摘された。

第26回探鉱新技術分科会
日時:2003年3月25日(火) 16:00-17:50
場所:帝国石油(株)5階第二会議室(幡ヶ谷)
出席者:
(分科会委員)金子信、清水、中本、金子光、山田泰、小田、森田澄、山田真、以上8名
(オブザーバー)井上(エムシー・エクスプロレーション)三宅、堀越(国際石開)門澤、三石(JE石開)溝部、深川、島本、鹿野(帝石)、以上9名
(講師)中山(地科研)
総計18名

議題:
1. 名簿の変更確認
 退会:鈴木正義(アブダビ石油)
 交代:石油公団の藤井哲哉氏より島野裕文氏へ

話題提供:
題名:Artificial Neural Networkの原理とその探鉱への応用
講師:地球科学総合研究所 中山一夫
概要:本話題提供は、アーティフィシャルニューラルネットワーク(ANN)の原理をできるだけ簡単に地質屋向けに説明するという内容であった。
リザーバーキャラクタリゼーションツールの一つであるGDI(Geology-Driven Integration Tool)では、坑井データと震探データから孔隙率やガス層の層厚分布を求めることができ、その際アーティフィシャルニューラルネットワーク(ANN)を使用して答えの最適化を図っている。具体的には、まず坑井で得られた物理検層データから反射係数を計算し、反射係数とwaveletをコンボリュートしてsynthetic seisimogramが得られる。このsynthetic seisimogramを地層の厚さや孔隙率を変化させて、モンテカルロ法で再計算させ、500本のpseudowellデータを作成する。これと実際の震探のアトリビュートを比較することにより、坑井外の震探測定地域での孔隙率やガス層の厚さが予想できる。この比較の作業をANNを使用して、多変数の一次式を二段、三段に重ねた式を繰り返し計算すると、次第に類似性の度合が増し、ある値に収斂する。それを平面的に描写すると、孔隙率やガス層の層厚分布図となる。
この講演に対し、計算の効果、計算結果の収束性、GDI応用の現状などの質問があった。

第25回探鉱新技術分科会
日時:2002年11月19日(火) 16:00-17:30
場所:石油公団17階大会議室(内幸町)
出席者:
(分科会委員)金子信、清水、山本、金子光、大野、藤井、山田、小田、森田澄、小川、以上10名
(オブザーバー)井上(エムシー・エクスプロレーション)高梨(合同資源)平井(帝石)中川(ジオウィンドウ)武田、稲盛(石資)大庭、坂田(産総研)、以上8名
(講師)鎌形(産総研)
総計19名

議題:
1. 名簿の変更確認

話題提供:
題名:メタンを生成する微生物のメタン生成経路と地球化学的な役割
講師:産業技術総合研究所 生物機能工学研究部門 鎌形洋一
概要:地球上に生息する原核生物の90〜99%は嫌気的環境に生息しており、その炭素固定量は地上の植物全体の炭素固定量に匹敵する。メタン生成古細菌とは、生育のために必要なエネルギーを獲得する際にメタンを生成する絶対嫌気性の微生物の総称で50種類以上が確認されており、分子進化的にバクテリアとは異なるドメイン(=アーケア)に属するものである。メタン生成古細菌は,自然生態系において有機物を無機化する最終段階の役目を担っている。メタンはメタン生成古細菌にとって廃棄物であり、それ以上利用することはない。
メタン生成古細菌がメタンを作るための直接的な基質の種類は極めて限られており、中でも水素/二酸化炭素および酢酸は最も重要な基質である。海底熱水系などで起こるメタン生成では水素/二酸化炭素の寄与が高いと考えられるが、多くの自然生態系では、水素/二酸化炭素とともに酢酸からのメタン生成量も多い。有機物の分解過程を考慮すると、生成するメタンの2/3は酢酸起源であっても不思議ではないが、嫌気的な地質環境にあっては酢酸起源のものは少なく、酢酸の地球化学的なサイクルは不明である。
通常、これらの基質(水素/二酸化炭素および酢酸)はより高分子の有機化合物の分解者(発酵性微生物;バクテリア)から提供されており,高分子有機化合物分解者とメタン生成古細菌は、物質代謝全体を進めるために常に”共存している”ことが必須である。つまり酪酸やエタノール、安息香酸を分解して酢酸、水素、二酸化炭素を生成する反応は吸エルゴン反応であるため、反応全体を進めるためには共生するメタン生成古細菌が水素を除去してやる必要がある。この時の水素(分子)分圧 は、低級脂肪酸をメタンに転換する際には10^-3〜-6気圧でなければ共生は成り立たず、有機物の分解速度が反応全体を律速している。嫌気的な酸化で得られるエネルギーは、好気的酸化で得られるエネルギー の1/10程度であり、複数の種類の微生物がさらにそれを分け合う形で共生している。

第24回探鉱新技術分科会
日時:2002年5月21日(火) 15:00-17:30
場所:石油公団17階大会議室(内幸町)
出席者:
(分科会委員)金子信、清水、中本、金子、大野、藤井、東、佐藤雅、山田泰、小田、青山、森田宜、山田真、以上13名
(オブザーバー)井上、渋谷(エムシー・エクスプロレーション)石下(国際石開)峯崎(三井石開)田中哲、熊谷(日石開)内山、上西、佐藤修(帝石)松澤(公団)平松(ICEP)田村、常山、David Ferrill、Darrell Sims(公団TRC)、以上15名
(講師)Hemin A. Koyi(ウプサラ大学)
総計29名

議題:
1. 平成13年度活動報告
 活動方針
 活動経過
 会計報告
2.平成14年度活動案
 活動方針案:平成13年度活動報告と同じ文面にすることに決定
 予算
 話題提供アンケート:後日実施する

話題提供:
題名:Salt Diapirs; a general review
講師:ウプサラ大学(スウェーデン)Hemin A. Koyi教授
概要:Salt Diapirsは、岩塩層を被覆する堆積層の厚さが不均一になることから生じる圧力差によって、岩塩が変形流動し、被覆層に入り込む現象である。したがってSalt Diapirsが生じる原因としては、被覆層の削剥や薄化、伸長性の断層による変形が一般的である。Salt Diapirsの形態は、岩塩供給速度(岩塩層からDiapirへの移動速度)、溶解、堆積速度、削剥、伸長、および圧縮の6つの要素により決定され、この要素は場所と時代により変化する。一般に、堆積速度に対する岩塩の供給速度によって、Salt Diapirsが上に狭まったり、広がったり、柱状になったりすると言われているが、水平応力との相乗効果もSalt Diapirsの形態には重要な影響を与える。岩塩は差別的荷重によって三次元的な流動変形を示すため、変形前の状態を知るための復元は二次元断面図上では難しい。それゆえ多くの断面図を用いて復元を試み、合理的に層厚変化が復元できるように努めなければならない。

第23回探鉱新技術分科会
日時:2002年4月23日(火) 16:00-17:40
場所:帝国石油(株)本社第2会議室(幡ヶ谷)
出席者:
(分科会委員)金子信、清水、中本、山田、小田、森田澄、森田宜、青山、以上8名
(オブザーバー)大久保(石資)中島(産総研)平井、佐藤(帝石)田中(日石開)鈴木(エムシー・エクスプロレーション)、以上6名
(講師)加藤進(石油資源開発)
総計15名

議題:
1. 名簿確認(委員変更):日本石油開発 中村→ 青山、国際石油開発 塚田→ 中本、森田澄(所属変更)石油公団TRC→ 産業技術総合研究所

話題提供:
題名:フィッション・トラック(FT)年代測定法の石油探鉱への応用−新潟地域グリーンタフを例として−
講師:石油資源開発梶@探鉱技術部 加藤 進
概要:FT年代測定法は鉱物やガラス中の238Uが自発核分裂を起こす際に残す飛跡(トラック)を利用した手法であり、用いる鉱物(ジルコン、アパタイトなど)、測定面(外部面=結晶面・内部面=研磨面)、解析対象(トラック数・トラック長)を組み合わせることで、いろいろな年代や熱履歴についての情報を得ることが可能である。そのほか、ジルコン結晶含有率からは岩質、本質結晶含有率からは試料が火山岩かどうか、ウラン量からは火山の活動時期や岩体の違いなどの情報が読み取れる。また、測定結果報告書には、年代値ばかりでなく、χ二乗検定、相関係数、ウラン濃度など年代値の信頼度を確認できるデータがある。新潟や秋田などの国内石油探鉱対象地域では火成活動が活発であり、火成岩類が貯留岩として重要な役割を果たしている。これらの岩石は多くの場合変質を受けていることから、岩石の生成年代や変質年代の推定にはFT年代測定法が適している。新潟地域のグリーンタフから採取したコア試料のFT年代値をヒストグラムにし、総合的に判断することで、FT法がグリーンタフを構成する火山岩類の噴出時期、変質年代のみならず、より古い火成活動の推定にも有効であることが分かった。

第22回探鉱新技術分科会
日時:2002年1月17日(木) 14:30-17:40
場所::(株)ジャパンエナジー本社1階会議室(虎の門)
出席者:
(分科会委員)金子信、清水、鈴木、樋口、金子光、大野、東、佐藤、山田、小田、中村、森田宜、山田、小川、以上14名
(オブザーバー)和気(日本天然ガス)中西、大和谷、市東(合同資源産業)竹内、中川(関東天然瓦斯)久保埜、中村(伊勢化学)千坂(旭硝子)池田、秋本(日宝化学)松崎(東大)徳橋(産総研)平井、大鷲、金田(帝石)加藤(SK)林、吉川(ジャパンエナジー石開)中川(ジオウィンドウ)、以上20名
(講師)三田(日本天然ガス)、樋口(合同資源産業)、村松(放医研)、金子信(産総研)、以上4名、ただし、金子信は分科会委員
総計37名

議題:
1. 名簿確認(委員変更):ベネズエラ石油 平野→ 帝国石油 森田宜史

話題提供:
題名:天然ガス付随水(かん水)中のヨウ素濃度について
講師:日本天然ガス(株) 三田 勲、合同資源産業(株) 樋口 康則
概要:ヨウ素は世界で年間に1万数千トンほど生産され、その約半分は日本とアメリカにおいてかん水から抽出されている。かん水中に溶解するヨウ素は多くの場合、油・ガス田の探鉱・開発に伴ってその濃集が知られる様になり、本邦では主に千葉県や宮崎県などで商業的に生産されている。今回、こうした地域でのヨウ素濃度の地域的、地層的な差異が紹介されたが、特に千葉県ではヨウ素の濃度と全有機炭素量との良好な相関関係やヨウ素の濃度が海底扇状地の形に分布するのが示された。また、日本についで、かん水からの生産量を持つ米国オクラホマ州、その他世界各地の海洋の例が併せて紹介された。

題名:上総層群に産出するヨウ素の年代と起源
講師:放射線医学総合研究所 村松康行
概要:ヨウ素を高濃度に含む千葉産鹹水試料中のヨウ素-129(半減期:1570万年)の分析を行い、ヨウ素の年代を求めたところ、約5000万年前という結果を得た。この値はヨウ素が産出する地層(約100-200万年)に比べ遥かに古く、そこに堆積した海藻などからできたという従来の説では説明できない。微量元素や安定同位体分析の結果及び地殻におけるヨウ素の分布とも合わせヨウ素の成因を考察した。その結果、海洋プレートの沈み込みに伴い、海洋堆積物からヨウ素が絞り出され移動して来た可能性が示唆された。また、ヨウ素とメタンとの関係ついても考察した。

題名:間隙水へのヨウ素の濃集機構とその起源
講師:産業技術総合研究所 金子信行
概要:海水中にわずか0.05ppmしか含まれないヨウ素であるが、続成初期の堆積物の間隙水中には数十〜100ppmを越える濃度で含まれる。その濃集機構として、堆積物の埋没・圧密の進行により間隙水が一定の深度に滞留し、埋没する堆積物有機物から放出されたヨウ素を受け取るものと考えた。この説では、前弧及び背弧堆積盆地内でのヨウ素の濃集を容易に説明できる一方、若い堆積盆地において50Maという古い年代を示すヨウ素の存在を説明することは困難である。かん水中のヨウ素の起源、濃度と深度変化、ヨウ素-129年代についての問題点を整理し,これらを説明するために付加体の発達までを考慮した一次元圧密モデルを提唱し、他のモデルとの比較を行った。

第21回探鉱新技術分科会
日時:2001年10月11日(木) 15:30-17:30
場所:石油資源開発(株)本社24階2405会議室(天王洲)
出席者:
(分科会委員)金子信、清水、小原、東、佐藤、山田、小川、以上7名
(オブザーバー)木村(防災科研)、吉野(JODCO)、田中、羽藤、大久保、柏原、阿部(SK)、西田(国際石開)、以上8名
(講師)鶴(JAMSTEC)以上1名
総計16名

議題:
1. 名簿確認(委員変更):アブダビ石油 廣島→鈴木、ジャパン石油 赤塚→小原、石油資源開発 西村→東

話題提供:
題名:日本海溝前弧域におけるプレート境界付近の構造の不均質性
講師:海洋科学技術センター   鶴 哲郎
概要:銚子以北の東北日本太平洋側海域における地震には、宮城県沖を境にして北部では大地震がある時間間隙をおいて発生し、南部では小規模な地震が頻発するという特徴がある。これらの地震はプレートの沈み込みに起因しており、北部では南北性のホルストーグラーベン、南部では海山をその最上部に持つ大平洋プレートが、上盤側のたっぷり水を含んだ堆積物を引き込む構造性侵食作用に関連がある。北部では日本海溝の近傍に分布する白亜系が水圧破砕を受けて多量の水を含み、震探断面上白抜けに見え、その頂部は西に傾く。これが大平洋プレートに引きづられて沈み込むが、その層厚は沈み込みの距離が長い程薄くなり、プレート間の摩擦が増したところで大地震が発生する。一方、南部では海山がブルドーザーの役目を果たし、上盤側の堆積物を押し込んだり削り取ったりすると同時にその後方に堆積物を引き込んで、震探断面上ある厚さを持った平行な反射面群が見える。地震が頻発するところでは、この反射波の層が薄く、プレート間の摩擦が大きくなって地震が頻発するものと考えられる。
講演の後、参加者全員で地震探査断面図を見ながら講演者の説明を聞き、意見を交換した。

第20回探鉱新技術分科会
日時:2001年7月26日(木) 15:00-18:10
場所:石油公団17階大会議室
出席者:
(分科会委員)金子信、清水、広島、樋口、金子光、赤塚、大野、藤井、森田、佐藤、山田、中村、前田、以上13名
(オブザーバー)佐藤(産総研)、吉田、松井(公団)岩崎、三石、平松(ICEP)、古屋、井川、加藤(JODCO)、養老、高山(SK)、関、久保、白井(日石開)、辻(出光)、小松、堀越(イン石)、井上(MCX)以上18名
(講師)村山 (SK)以上1名
物探分科会から13名、合計45名の出席者があった。

議題:
1. 座長交代について:小鷹・田中退任、金子信、清水就任
  新体制になったので、自己紹介を行った。
2. 名簿確認(委員変更):日石開発 田中→中村、ジャパンエナジー 小鷹退任、石油公団 渡辺退任
3.活動方針:前年と変更なし

話題提供:
題名:岩石物性と地震探査のはざま
講師:石油資源開発 村山 隆平
概要:「岩石物性」「地震探査アトリビュート」「インバージョン」をキーワードとして、地震探査によるレザーバ・キャラクタライゼーションの現状と展望が紹介された。岩石物性では孔隙率と速度の関係に関して、続成作用によるトレンドと粒度分布によ るトレンドがあり、対象とするレザバーがどちらの影響をより強く受けているかを認識することが重要であること、また、S波の速度情報が流体の検知に有効であることが強調された。アトリビュート解析では、アトリビュートの作成は容易であるが、地質的意義を考慮したアトリビュートの選択や解析結果の解釈が重要であること、インバージョンでは、地震探査データに元来含まれない低周波数成分と高周波数成分の推定が結果を大きく左右することなどが強調された。
話題提供の後、参加者全員でレザーバーキャラクタライゼーション、およびその周辺技術に関する現状認識・問題点等について意見交換した。

第19回探鉱新技術分科会
日時:2001年4月20日(金) 16:00-17:30
場所:石油公団18C会議室
出席者:
(分科会委員)田中、小鷹、広島、高橋、樋口、金子光、赤塚、藤井、森田、西村、山田、金子信、山田、以上13名
(オブザーバー)三箇(日鉱探開)、堀、太田、脇田、飯笹(以上産総研)、大久保、辻、竹花(SK)、鈴木(MCX)、以上9名

議題:
1. 名簿確認(委員変更):SK大久保→山田
2. 座長交代について:小鷹・田中退任予定、新体制模索中

話題提供:
題名:DEMと地形情報処理
講師:日鉱探開 三箇 智二
概要:地形は地質や構造運動を反映することから,地形起伏や水系などには様々な地質・地質構造情報が含まれている。近年、衛星データによるDEM(Digital Elevation Model)が比較的容易に作成されるようになり、地形情報を入手することが可能となってきた。地形情報の整備に従い、野上、大森などによる地形学を数量として扱う数値地形学の分野の発展が著しい。これは隆起・浸食を含め、地形発達史を数量的に解析することを目的としている。
我々地質屋は、地形が地質を反映していることを経験的に感じ、また、写真地質判読では、地形情報に注目し、地質や構造判読を行う。このように漠然と感じていた地形情報を、地形特徴量として数値化し、地形の構造法則性について検討を行ってきた。今回は、これら地形特徴量からその地域を代表させる標準地形モデルが構築可能なこと、および、標準地形モデルと実際の地形から算出される地質・構造情報の抽出手法について紹介した。
 衛星データ利用の最近の動向:ASTERによる鉱物同定手法
 衛星DEM:ASTER, JERS-1, SPOT, RADARSAT, SRTM
 地形学の最近の動向:地形シミュレーション
 地形の基本的性質:比高、地質、構造運動(隆起)
 起伏の不連続性と識別方法:高度分散量(傾斜量)異常解析
 DEMの応用分野

第18回探鉱新技術分科会
日時:2001年4月3日(火)15:30-17:30
場所:帝国石油技術研究所(烏山)
出席者:
(分科会委員)田中、小鷹、樋口、赤塚、藤井、森田、大久保、金子、小田、前田、山田(以上11名)
(オブザーバー)中山(地科研)、平井(帝石)、田中(帝石)(以上3名)

話題名:石油の移動を示すバイオマーカーに関する研究
発表者:木佐森聖樹(石油公団TRC)
概要:石油の2次移動距離の情報は、ベースンモデリングのキャリブレーションに有用だが、従来提唱された指標は地域毎の感度差や熟成度の影響がある等問題点も多く、分配の機構もあまり明らかでない。そこで発表者らは、申川および北海油田の原油を用い、分配機構の解明と新たな指標探索を検討した。まず、カルバゾール類の吸着機構に着目し、吸着点である窒素原子周りの置換基の有無や双極子モーメント等と吸着性との相関を評価したが、前者は予測に反して立体障害がある方が早く減少し、後者は明確な相関が得られなかった。このことから、カルバゾール類の分配は水への拡散の影響が支配的であると予測される。よって、カルバゾールより吸着性が強く、水への親和性が低い化合物ならば、吸着機構が支配的となり、より汎用的な移動指標と成り得ると考えられる。石油中の各化合物を計算化学などで評価した結果、キノリン類が最も有望と思われるため、現在モデル実験などによる検証を実施中である。

第17回探鉱新技術分科会

日時:2000年12月15日(金)15:00-17:30
場所:(株)ジャパンエナジー1階会議室
出席者:
(分科会委員)田中、小鷹、高橋、樋口、金子(光)、藤井、西村、大久保、金子(信)、山田、以上10名
(オブザーバー)磯江、大野木(日石開発)、鈴木(TRC)、高山、横井、平井、斉藤、加藤(石油資源)、丹野、渋谷(三菱商事)、沢村(地科研)、田村(ジャパン石開)、辻(出光)、町田(公団)、内村(アラ石)、石橋(JE石開)以上16名

議題
* 名簿確認
* 運営方針アンケート結果(別紙)

話題提供
話題: 基盤岩フラクチャー貯留層の分布予測について -ベトナム沖の例-
講師: 磯江芳朗(日本石油開発)
内容: 南部ベトナム沖のランドン油田の貯留層である花崗岩質基盤のフラクチャーの分布を予測するために、各種のテクトニックスタディを実施した。その結果、詳細な断層解釈およびその断層運動により何処にフラクチャーが発達するかについて明確な概念が得られた。また、この概念を基に、不均質・不連続なフラクチャーネットワークを直接モデル化するDFN(Discrete Fracture Network)モデリングを実施した。フラクチャー分布概念を基にリアルなフラクチャーネットワークモデルを構築し、圧力挙動をヒストリーマッチすることでコントロールしていくDFNモデリングは、フラクチャー貯留層モデリングの有効な方法と考えられる。

(別紙)
探鉱新技術分科会第3回アンケート結果(2000.12.15)
> Q.1 話題提供で希望するテーマ
地化学
* 地化学関連のトピックス(山田)
* 地化学分野(西村)
* 地化学:バイオマーカーを用いた熟成度評価/古環境評価の最新動向、検層との対比(小田)
* バイオマーカー研究の最新の成果(地化学関連評価技術、油層地化学など。)(高橋、出光で手法についてまとめているので話できる)
* 貯留層地化学に関する話題(藤井)
* 地表地化学探鉱技術に関する最近の技術動向(藤井)

大水深探鉱
* 最近の大水深域探鉱における問題点とその解決方法(高橋、ブラジル西アフリカなど)
* 大水深域での探鉱活動タービダイト砂岩に焦点を置いたもの(大野)

Reservoir Characterization
* 出光でパッチ状のstochastic modelingというのをやっていたがその後どうなったか?(後任に聞いてみる)
* 3D Seismicデータと地質データと油層データを組み合わせた地質モデリング(赤塚)
* Seismicデータと地質データ(Log及びコア)を用いた統計学的手法(油層モデル、堆積モデル等の構築)(赤塚)
* 地質情報を油層モデルに組み込むためのScaling Up手法(赤塚)
* High quality sequence stratigraphyに関するもの(露頭情報、Seismicデータ、Logデータ、コアデータを盛り込んだSequenceの三次元的な分布を言及するもの)(赤塚)
* Logデータ、Seismicデータ、露頭情報を用いた断層/Fracture Modeling(赤塚)
* 油層工学と組合わせた話題、例えば、炭酸ガス工法油田に対する4D震探による炭酸ガスフロントのモニターリング。(前田)カルフォルニアでTRCがやっている?

その他石油地質関係
* 断層シール能力評価手法に関する話題(藤井、TRCで従来と視点を変え新たに進んでいる)
* 応力場推定(京大山地先生)(金子光、新津背斜・房総の話など)
* 数値地形解析(日鉱探開三箇氏)(金子光、strike slipが地表データからわかる)
* 超精密微化石層序

その他一般
* 検層に関する基礎的な講演(大久保)
* ジャパン石油の野本さんUSGSの新しい埋蔵量評価の結果レビュー(金子信、資源経済委員会でやっている)
* リスク評価手法に地質モデルをどう生かしているか?
* 天然ガスの新しい利用法(西村、燃料電池など)
* 学術ボーリングの紹介

* 国際シンポジウムや巡検の参加報告、論文・図書の紹介(小田)
* 各社で導入の進んでいるワークステーション・パソコンを用いた解析システムの運用実例などの紹介。(山田、3Dvisualizationなど活用状況をアンケートした上で)

> Q.2 新技術分科会に関するご意見
* 「新技術・・・」は難しい課題であり、とりあえず現状ですすめ、もう少し頻繁に活動内容を見直してみては。(高橋)
* 年4回くらいはした方がよい.(1回はシミュレーション)(金子信)
* テーマが多岐にわたって分散してしまうかもしれませんが、春季講演会でシンポジウムあるいは(炭酸塩岩分科会のような)勉強会はいかがでしょうか?(小田)
* 会場、各社持ち回りでも良いのでは? (前田)
* フィールドトリップを企画しては?
以上

第16回探鉱新技術分科会

日時:2000年9月19日(火)15:00-17:30
場所:(株)ジャパンエナジー1階会議室
出席者:
(分科会委員)田中、小鷹、廣島、塚田、国末(代)、赤塚、森田、西村、大久保、小田、前田、小川、以上12名
(オブザーバー)磯江(日石開発)、常山(TRC)、吉野(ジャパン石開)、山田、玉川(以上石油資源)、以上5名

議題
* 名簿確認
* 平成12年度分科会運営方針
* ROG・田口記念論文集の販売案内

話題提供
話題: 構造形成モデリング?アナログとデジタル?
講師: 山田泰広・玉川哲也(石油資源開発(株)技研)
内容: 地質構造がどのようにして形成されたのかをより深く理解することは,近年複雑化してきた探鉱対象の構造形態をより正確に把握したり,データの不十分な地域での構造形態を推定する上で重要である。この目的には,注目している断層や褶曲構造の形成過程を直接観察できる「構造形成モデリング」が最も有力な手法である。構造形成モデリングには,アナログ手法(モデル実験)とデジタル手法(数値シミュレーション)があり,お互いに長所と短所を補いあう傾向を示す。
具体的には以下の手法について、その特徴・最近の研究例が紹介された。
モデル実験:粘土、砂箱
シミュレーション:2D, 3D, 非圧縮性流体シミュレーション、不連続体解析(個別要素法)

第15回探鉱新技術分科会

日時:2000年2月29日(火)15:00-17:30
場所:(株)ジャパンエナジー 地下1階会議室
出席者:
(分科会委員)田中(哲)、小鷹、水野、赤塚、藤井、土田、大久保、津賀、井上、以上9名
(オブザーバー)符(JOE)、松田、津久井(以上TRC)、指宿、山田(以上石油資源)、国末(関東天然瓦斯)、小島(ジャパン石開)、小畑(住友石開)、林田(泰)(アラビア石油)、有賀(日石開発)、藤原(Jエナジー石開)、以上11名

議題
* 名簿確認
* SPE2000の紹介

話題提供
話題: 地質モデリング研究グループの設立について
講師: 中山一夫 (地科研)、奥井明彦(出光)
地質モデリング研究会の必要性(中山)
本来帰納的である地質の思考スタイルを演繹的に変えることにより、将来予測ができるツールとしたい。また、探鉱による埋蔵量獲得から、既発見油田の回収率アップという時代の流れに取り残されないために、レザバーキャラクタライゼーションに探鉱屋はもっと関与していく必要がある。これらの土台を構築するために地質モデリング研究グループを作りたい。
具体的には年に数回の集まりを持ち、地質モデルを作る人、使う人が忌憚のない意見交換が出来る場を設ける。新技術分科会の年4回のうちの1回をこの会合に使わせてもらいたい。

モデリングとキャリブレーション(奥井)
北海のViking Grabenをモデリングした例を用い、実データを使ったキャリブレーションがどのように行われるかを紹介した。また実データが少ない場合・一般的でない場合に行われる感度分析についても実例を示した。モデルでは、シール能力の形成時期の相違から炭化水素がトラップされる層準が規制される様子が再現されている。また過去値をキャリブレーションするものとしてフィッショントラック・流体包有物があげられた。

(分科会)分科会の一部を使わせて欲しいとの申し出については、モデリングは新技術分科会のテーマの一つであること・生産物探など他の分野と協調していく部分が多く境界領域は新技術分科会のカバーするところであることから、年1回程度なら使ってもらって構わないだろうということになった。

(設立趣意書)

地質モデリング研究グループの設立について

 石油地質分野におけるコンピュータモデリングという手法は、1950年代の終わり頃から研究が進められ、1980年代になって主として石油地化学で実用化が始まった。その後、石油公団の大型研究テーマとしても取り上げられ、さらに、堆積学、構造地質学などでも石油探鉱への実用化を目指した多くのモデル化が試みられ現在に至っている。
 1990年代に入ってからは実際の探鉱作業にも応用されるようになって、数値実験という疑似体験を積むことによる教育的効果は促進されたが、複雑な自然現象を過少の入力データで再現するという条件的制約から、学問的な面で当初期待されたほどの成果を上げるには至っていない*。しかるに、モデリング手法自体は本来もっと評価されるべきものであって、物理探鉱や油層工学分野では、ほぼ同時期からコンピュータ化が始められたにもかかわらず、格段の進歩を遂げ今やモデリングなくしては日常業務が成り立たないほど重要な分野に成長している。現に地質分野でも、毎年十分な数の井戸の掘れる石油メジャーでは、徐々にその実用性が認識されてきており「使える技術」として定着しつつある。
 このような現状からこれからの石油地質分野におけるモデリングの役割を考えると、他の分野からの新しい概念を受け入れ、また発信する共通手段として有用ではないかと考えられる。一方、物理探鉱や油層工学にとっても、石油発見あるいは石油の存在予測の鍵は石油地質学にあるといって過言でない。地質的アイデアをいかにモデリングに活かすかが、現状のモデル技術を飛躍させる鍵になることであろう。すなわち、石油地質モデリングは石油鉱業界発展のためにも将来重要なKeyあるいはインパクトになると位置付けられる。
 以上の現状認識に基づき、広く石油分野におけるモデリング手法について、その基礎的背景を見直すとともに、その応用の仕方、あるいはこれから応用されるべき新分野の発掘等について意見交換を行う場所が必要と考えた。モデリングに携わる人口が少ない我が国に於いては、この際、官庁、企業とか大学の枠にとらわれず意見交換を行う母体が必要なのではないかと考え、ここに当グループを設立し機能させようとするものである。具体的には、新技術分科会のテーマのひとつに地質現象の数値モデリングに関する検討をするサブグループを設置して頂き、まず、種々の立場から、現時点におけるモデリング技術の技術的な総括及び実用的な意味付けについてまず考えてみることからはじめることとしたい。
石油鉱業において、近未来の職際領域(Multi-disciplinaryWork)の発展を考えた時、石油地質学と物理探鉱及び油層工学(特にReservoir Simulation)は、互いに必要不可欠の分野と思われる。この際、なんらかの共通手段を持つ者として、地質探鉱関係者、物理探鉱関係者と油層工学関係者にも参加を呼び掛けるものである。
中山 一夫、奥井 明彦、徳永 朋祥(呼びかけ人)
平岡 尚(オブザーバー)

*これは例えば油層工学等ではヒストリーマッチングによって自ら行った予測の修正ができるのに対して、地質モデリングではタイムマシーンでもない限り予測の妥当性を十分に実証することが不可能だからである(不充分であるが唯一の実証方法は井戸を掘るという高価な方法である)。 

第14回 探鉱新技術分科会(第33回物探分科会と共催)

日時:99年8月4日(水)15:00-17:30
場所:(株)ジャパンエナジー 1階会議室
出席者:
(物探)高橋(明)、中須賀、阿部、岡本、工藤、佐藤(岳)、佐野、常山、水田、西田、市江、以上11名
(探鉱新技術)田中(哲)、小鷹、鈴木(郁)、赤塚、東、大久保、金子(信)、平野、佐藤、中島、山田、大野木、以上12名
(オブザーバー)溝畑、長谷川、鈴木(好)、石橋(以上TRC)、岡本、手塚、山田(以上石油資源)、山崎、小澤、川崎、乙津(以上地科研)、中川(三菱石開)、品川(三井石開)、三石(ICEP)、吉野(ジャパン石開)、菊田、矢来、下川(以上科技庁)、橋本(気象庁)、今給黎(国土地理院)、以上20名

議題

話題: 反射法地震探査から見た北日本の新生代テクトニクス
講師: 佐藤比呂志 (東京大学地震研究所地震予知研究推進センター助教授)

1995年の兵庫県南部地震以降、活断層や深部地殻をターゲットとした反射法地震探査が積極的に行われるようになった。これらの最新成果を紹介するとともに、こうしたデータから推定される北日本の新生代テクトニクスについて言及した。
・ 長町-利府断層のインバージョンテクトニクス
・ 東北日本横断プロファイル 脊梁の深部地殻構造探査の成果
・ 千屋断層のデタッチメント(船川層泥岩)
・ 舟形背斜の西黒沢泥岩層中のデタッチメントと上位砂岩層のfault propagationfold
・ 東北日本横断プロファイルを解釈する上で不可欠なインバージョンテクトニクス概念
・ 北部フォッサの形成モデル(ダブルランプモデル)と大規模インバージョン
 

第13回 探鉱新技術分科会

日時:4月15日(木)15:30-17:30
場所:日石三菱(株)虎ノ門ビル13階A会議室
出席:田中(哲)、小鷹、廣島、水野、鈴木(好)、三谷、東、藤井、渡邊、土田、大久保、金子(信)、平野、大野木、以上14名
オブザーバー:熊谷、三石、前角、本多、川村、蔵口、佐藤(大)、高山、今村、津賀、横山、有賀、山口、吉野、中島、塩本、原、以上17名

議題

話題提供 :NMR検層の基礎と応用

川村 善久(Schlumberger, Wireline& Testing)
NMR検層の測定原理。本来ランダムな方向を向いている水素原子のスピンを、静磁場により一方向に揃える。磁場を取り去った時の水素原子のもつ磁力、それが元のランダムな状態に戻るまでの時間(T2)を測定することにより、CMR porosityとT2 distribution (pore size distribution)を求めることができる。これから浸透率を数式により計算できる。

廣島 英樹(アブダビ石油技術部)
GA油田ドロマイト油層とムバラス油田石灰岩油層の例を紹介した。前者ではpore size distributionがかなり変化すること、油層のSwのほとんどがbound waterであることがNMRにより明らかになった。後者ではpore size distributionはほぼ一定であり、コアの岩相とT2 distributionは良く相関している。

水野 達也(アラビア石油技術部)
カフジ油田の砂岩・石灰岩油層につき3種類の検層速度(80,250, 1130 (2270) ft/hr)で取ったデータを比較した。若干のずれはあるものの、大きな差はない。砂岩油層ではELANporosityと10 p.u.のずれを示すところもあった。
 

第12回探鉱新技術分科会

日時:平成11年1月14日(木)16:00-17:30

場所:(株)ジャパンエナジー本社(虎ノ門新日鉱ビル)1F会議室

出席者:田中座長、小鷹座長、岩崎(代)、水野、高橋、鈴木(郁)、樋口、鈴木(好)、三谷、三石、渡辺、西村、金子(信)、岡田、中島委員、以上15名

オブザーバー:熊谷、江藤、長崎、有賀、候、辻(隆)、内田、小島、松原、今吉、阿部、今堀、青黄、以上13名

話題提供者:中山一夫氏(地球科学総合研究所)

議題: 1.最近の地質の話題紹介(地質調査所発表会、大学と科学公開シンポ)

2.次回の話題(候補:NMR検層)

3.石油技術協会ホームページ公開迫る

4.委員交代など

話題: Reservoir characterization by Monte Carlo Simulation

地震探鉱記録を用いて貯留岩性状を面的に予測するには、坑井データとのタイが必要であるが、坑井数が少ない時には統計的に意味のある相関を取ることが難しい。そこで、モンテカルロ法を用いて多くの疑似坑井を生成し、その貯留岩パラメータと地震波属性をニューラルネットワークを用いて相関付けることにより、震探データから貯留岩物性を推定する手法を紹介した。また、これを実フィールドに応用し、フィールド全体の貯留岩性状を定量的に評価して、埋蔵量計算・探掘井位置決定に役立てた例を示した。

 

 

第11回探鉱新技術分科会

日時: 平成10年9月17日(木)15:30-17:30

場所: (株)ジャパンエナジー本社(虎ノ門新日鉱ビル)1F会議室

出席者: 田中座長、小鷹座長、廣島、水野、金子(光)、鈴木、藤井、西村、大久保、金子(信)、棚橋、中島、大野木委員、以上13名

オブザーバー: 吉野、小田、石田、以上3名

話題提供者: 石橋正敏氏(石油公団TRC)

議題: 1.委員自己紹介 2.活動方針 3.今後の話題 4.分科会ホームページ紹介5.その他

話題: 速報!Fluid Inclusion Stratigraphy

- 炭化水素の移動・集積を解明するための新技術?

カッティングスを洗浄・乾燥後、クラッシュした時に発生するガスを質量分析器で測定するFluidInclusion Stratigraphy法が紹介された。短時間(630サンプルを12時間で)、低価格(10ドル/サンプル)、多分析項目という特徴があり、試掘井のロケーション選定、ローカルなシールの摘出、オリジナルの油ガス/水界面の把握などに役立つことが説明された。実際にアブダビ海域の坑井で行われた分析が紹介され、condensed sectionが原油のシールとなっていることが示された。

 

第10回 探鉱新技術分科会

日時: 平成9年12月5日(金)14:00〜17:50

場所: 石油資源開発(株)本社24階2405会議室

出席者:加藤座長、上西、峯崎、有賀、鈴木(郁)、大久保、金子(光)、鈴木(好)、樋口、金子(信)、西村委員 以上11名

オブザーバー:高山(徳)、洲崎、小出、倉本、佐藤(幹)、東(倫)、佐藤(岳)、島尾、横井(研)、前田、柳本、野本、国末、川村 以上14名

話題提供者: 松田繁美氏(GeoQuest(株))、高山 将氏(石油公団技術部)、加藤 進氏(石油資源開発(株))

「石油探鉱における物理検層の活用ー基礎および応用例」のテーマのもとに3つの話題提供が行われた。

(1)物理検層の基礎(松田氏)

各種物理検層(SP, Sonic, Density , Neutron , Resistivity,Dipmeterなど)の測定原理と使用目的について、豊富な実例をもとに詳しく解説された。

(2)物理検層による根源岩評価(高山氏)

物理検層を用いた根源岩評価(有機炭素量、有機物の質および熟成度)の目的とそのメリット・デメリットを、これまでに公表された論文に基づいて紹介された。

(3)シリカ続成と物理検層(加藤氏)

女川層等を例にあげながら、シリカ続成と物理検層上の特徴について解説された。

 

第9回 新技術分科会

日時: 平成9年7月9日(水)13:30〜17:30

場所: 石油資源開発(株)本社24階2405会議室

出席者:加藤座長,鈴木(郁),大久保,金子(光)(代 小鷹),藤井,西村,佐藤委員以上7名

オブザーバー:国末,堀口,八木,及川,成田,武田,鈴木(正),掃部,松井,辻,服部,以上11名

話題提供者:檀原 徹氏(京都フィッショントラック(株))

京都フィッショントラック(株)で,実際に行われたジルコンのフィッショントラック分析結果を例に取り上げ,最近の測定方法の現状や問題点について報告された。特に,石油探鉱へのフィッショントラック分析の応用というテーマでは,基礎試錐などの4つのタイプの資料を使い様々な問題点とその解釈について詳細に述べられた。また,トピックスとしてナチュラル・エッチングの現象の紹介とその地質学的意味,鉱物分離法の進歩や実験室の構造など多岐に渡る内容が紹介され,中身の濃い4時間であった。


TITLE:活動記録
DATE:2012/12/3
URL:http://www.japt.org/html/iinkai/bunkakai/tankou/newtech/ActionRecord.htm